白花ノハナショウブ   Iris ensata var. spontanea (Makino) Nakai  White colored mutant

野生種   白花の三英花。花径はおよそ6cm前後の小輪。花菖蒲の原種である
ノハナショウブの白花変種である。草丈は高く100cm以上になる。繁殖はやや悪い。

ノハナショウブは基本的に紅紫から青紫までの色彩変異があるが、ごくまれに、本種の
ような純白や、ピンク、または紅紫が退色したような薄赤色の花が見られる。この個体は、
北海道農業専門学校から譲り受けた。「花菖蒲大図譜」には木曽産の純白の個体が掲載
されているが、この本の出資者の栗林元次郎氏はこの学園の創始者である。この画像の花
がそうだろうか。

北海道や東北など、ノハナショウブの自生地を少しばかり周ってみたが、色彩が薄くなった個体は
見られるものの、純白花はいまだ見たことがない。関西の花菖蒲園関係者が、自生地から発見した
という話を以前聞いたが、今もどこかに白いノハナショウブは自生しているのだろうか。


一般に受ける花ではないと思っていたが、最近ではこんな原種系を好まれる方も増えている。
最近では若い人でも山野草に興味を持つ人が増えてきているそうだが、その感覚からすれば、ごて
ごてした大輪よりも、ノハナショウブや長井古種はすっきりとしていて、逆にいいんじゃないかと思う。
本種は個人をはじめ、花菖蒲園からも要望のある品種である。