酒中花 しゅちゅうか SYUCHUKA
江戸系 中晩生 白地に紅紫の覆輪が入り、しっかりした花弁を持つ平咲きの六英花。花径はおよそ16cm程度の
中輪。葉は短めで堅く、草丈は低く出来ても50cm程度。性質は多少弱く、繁殖は普通。
昔から菖翁花と言われてきたが、現存する菖翁の品種目録には酒中花の名前は出て来ない。しかし、明治18年に描か
れた堀切小高園の花菖蒲図譜には登場するので、やはり古い品種である。熊本花菖蒲の古花の「舞子の浜」が、花色が
青紫なだけで、酒中花に花形、草姿とも似ているので、何らかの関連はあると思っている。そのほか、こんにち見られる
白地に紅覆輪の品種は、育種の過程で本種が使用されているのではないかと思う。
以前から当園にある「酒中花」は品が違うと言われていたが、それならと思い、花菖蒲の品種保存をされておられる人か
ら入手し、咲かせたのがこの花だが、当園のものと同じであった。本物はもっと覆輪の幅が狭いと言う。確かに「花菖蒲大
図譜」にある写真の花は覆輪の幅が狭く、花弁の縁に小波を廻らし、上の画像の花とは違う印象を受ける。しかし、覆輪の
程度や花弁の縁の小波など細かなところは、栽培条件によっても変わって来るので、正確には判断できない。これが本物
だと見せてくれる人がいれば良いのだが・・。