金 冠   きんかん   KINKAN

種間交配種   早生   鮮明な黄色の三英咲き。花径13cm前後の小中輪。ひじょうに多花性で開花期も長いが、
2番花、3番花になるに従い小輪になる。葉は濃緑で太く厚く、草丈は100cm程度。性質はもたいへん強く、繁殖も旺盛。


黄花の花菖蒲の中では最も大型の花を付ける品種。また、「愛知の輝」など古い黄花花菖蒲の葉が黄緑なのとは
対照的に、本種は葉が濃緑で花とのコントラストも良くたいへん華やかである。草丈も100cm前後にまで伸び、株も
良く殖え堂々と咲く。キショウブの血のため、一茎から5〜6輪の花が咲き、開花期が長い。1996年に加茂花菖蒲園が
作出したが、もうそろそろ全国の花菖蒲園で立派な姿を見せはじめていると思う。今後の黄花菖蒲の代表的な品種に
なると思われる。



外国産の植物の多くが複数の原種を利用して改良発達してきているのいに対して、花菖蒲を含め、日本の園芸植物の
改良は、1種類の原種のみからその可能性を引き出すといった品種改良が昔から行われてきた。英語で属間交配のこと
を「ハイブリッド」と言い、より素晴らしいものという意思が伝わってくるが、日本にはこれに当てはまる言葉はない。日本
では異種間交配のことを俗に「雑種」と言うが、これには、純粋でないもの。純血種より劣ったものというニアンスがある。
当園では花菖蒲と他の種類との属間交配を「雑種」とは呼ばないようにしようということで、「種間交配種」という文字を充て
ているが、これにもより素晴らしいものという意思は伝わって来ない。こんなところにも、欧米と日本の意識の違いがあり、
興味深く感じられる。