泉 川 いずみがわ IZUMI GAWA
江戸系 中晩生 ごく淡い水色地に青脈が入る六英花。花径は約14cm前後の中輪。
茎葉はやや堅い感じを受け、草丈は高く100cmを越す。全体の雰囲気は「神代の昔」に近い。
性質繁殖はやや劣る。
江戸花菖蒲の古花の一つで、江戸時代後期に堀切で天保年間より開園した花菖蒲園、小高園
の、二代目 伊左衛門によって作出され、「麒麟角」などとともに、江戸時代後期、最も名花として
江戸の人々の名声を博した花と、葛飾区史に記されている江戸の名花。
「神代の昔」に似ているが、芯が薄水色なのが特徴。花形、色彩とも江戸の粋を象徴するような
玄人受けのする花。
このホームページでは各系統の古花を多く掲載してある。現在、戦前に育成されたとされる古品種は、
江戸花菖蒲が大船系を含めおよそ200品種前後、伊勢花菖蒲の古花は、およそ50品種前後、熊本
花菖蒲の古花は、およそ30品種前後が現存している。
何で新品種にくらべ花も見劣りし、性質も弱い古品種を多く紹介するのかと疑問に思われるかもしれないが、
これらの花は花菖蒲の文化財であり、つまりは日本の伝統園芸の、ひいては日本文化の文化財だと思う
からである。これがまず理由の一つ。2つ目は、現代の私たちが使用していない遺伝子を持っていて、
使い方次第で新しい育種の展開が開ける可能性がある。3つ目に、長い時間人の審美眼を通って選ばれて
来た花であり、感性豊かな古い時代の人たちの観賞眼によって選ばれて来た花なので、その美的な完成度の
高さという点で、参考になる点が非常に多いこと。4つ目に、新花はいくらでも作出できるが、古花は一度
絶やしたらそれでおしまいである。これらの理由からここで紹介し、保存が必要であることを訴えるため、古品
種を多く紹介している。