初 霜 はつしも HATSU SHIMO
江戸系 純白の三英花。花径はおよそ14ｃｍ前後の中輪。草丈は100ｃｍを超える。
性質はやや弱い。繁殖は普通。
江戸花菖蒲の古花の一つで、単純な花だが、蕾の姿と葉姿が美しく、昔から切花用に
大量生産されてきた品種である。
花菖蒲はもともと端午の節句の祭りの花で、こんにちでも茶道や華道界ではこの風習が残って
おり、５月５日に花菖蒲の切花を使用するが、この初霜という品種は江戸系の古い品種の中では
早咲きで、促成させることで新暦の端午に間に合い、蕾の姿や葉姿も美しくいため、切花用にさかん
に生産され出荷された品種である。
花菖蒲にこれだけ多くの品種があるのに、いけばな用の花菖蒲は、この初霜や、「村雲」などほんの数
品種の花菖蒲しか生産されていない。花が開いた花菖蒲は花が大きすぎ、生け花の全体のバランスが
取りにくいためなのか、華道古来のお約束なのか、もっぱら蕾と葉が観賞の対象として使用されている。