白玉楼 はくぎょくろう HAKUGYOKU RHO
肥後系 晩生 純白の六英花。花径はおよそ18cm程度の大輪から極大輪。
葉はやや黄色味を帯び草丈は60cm程度。性質、繁殖は普通。
平尾先生が1965年に作出した肥後系の名花。画像の花は開花一日目でまだ花弁が伸び広がっておらず
気品に欠けるが、開花3日目には花弁が波打ちまことに秀麗な大輪となる。
平尾先生が亡くなられた1988年の夏、当園が平尾先生宅の花菖蒲を引き取ることになり、私は逗子の先生
宅から花菖蒲を引き上げてきた。いまそれらは、「遠 雷」、「大 帝」、「藤ヶ峰」など当園で品種名を付けた品も
あるが、数百株受け取ってきた大部分は、実際販売するには今ひとつ不向きで、品種名も付けないまま絶え
てしまった。
先生もそれらに名前は付けておらず、「似大淀上花玉洞芯」など、判別のため花容をラベルに書いた札だけ付
けていた。当園の一江も、「育種親として素質のある花とか、玄人受けする花はあるが、どうも一般受けしそうも
ないなあ。」と言っていたのを覚えている。
当園に入ってまだ間もない私は、それでも「玉洞芯」とかのラベルを読んで、平尾先生は肥後系の品格を重視
されておられたんだなと思った。そういえば「澄 心」にしても「清 鶴」にしても、先生の純白花は肥後系の豪華
さよりも品格を重んじておられることがわかる。私は、そんなことや、それ以降いろいろな書籍を読み、エピソー
ドを聞くうちに、肥後系というのは、豪華なだけじゃだめなんだなということを理解してきた。この白玉楼という花も、
そのことを教えてくれる。先生が作られた、純白六英花の最高花であると思う。