加茂花菖蒲園花菖蒲データベース https://kamoltd.co.jp/katalog/index.htm



葦の浮船   あしのうきふね   ASHI NO UKIFUNE

肥後系   中生   白地に藍の砂子と青紫の脈は入る六英咲き。芯は紫色。花径は約20cmの大輪から極大輪。
しかし、最近見る本種の花は、紫の砂子が多く混じった、藤紫に近い花なども咲くようなので、長年栽培されるうち、
変化してしまったのではないかとも思われる。
草丈は80cm程度。性質、繁殖とも普通。1966年、光田義男作。

肥後系の元となった熊本花菖蒲は、江戸時代の末期より熊本で改良されたが、江戸花菖蒲が花色や花形とも多彩である
のに対し、熊本花菖蒲では紫、紅紫、純白の無地花の占める割合が高い。これは、室内での観賞を目的にしたため、紫と
白の花以外は、細かな色彩変化があっても室内の薄明るい光の中では解りづらいなどの理由もあったと思われる。また、
白花は特に清廉潔白な心を表す。そこに雑色が混じるなど、もってのほかと考えられたのではないか。

光田氏はその点に着目し、その色彩変異の幅を広げるべく改良を重ね、それまでの肥後系(熊本系)になかった、
ピンク系や砂子系の花を作出されたが、この白地に紫脈の入る系統もその一つである。