加茂花菖蒲園花菖蒲データベース https://kamoltd.co.jp/katalog/index.htm
安 積 あさか ASAKA
江戸系 中生 紅を含む紺紫三英咲き。花径はおよそ10cm程度の小輪。
草丈は100cm程度。
江戸花菖蒲の古花の一つで、格別な特徴もないおとなしい品種である。あまりに単純な花の
ためか、こんにちでは栽培はかなり希というか、ほとんどないような気もする。
派手さのない単純な花なので、個人の栽培者は見向きもしない。だから、こういう品種は花菖蒲園
で保存してゆくしかない。
しかし花菖蒲園というところも、多くが公営で、専門に担当する者もいない。担当職員は数年で交代、
実際の栽培を担当するのは下請けの造園業者だが、これも同じ会社ばかりがと癒着だのうるさいので、
これまた数年で他の造園会社に交代する。こういった状況なので、品種がどうのとか、保存がどうのまで
とても行かないどころか、栽培を覚えたころには交代で、栽培すら全くの素人であることも多い。まァ、お役所
とはそういうシステムなので、しょうがない。
それに加えて少ない予算でむりやり回すから、例えば植え替えも植付け3年で行わなければならない
ものを、予算の都合で5年6年と遅らせてしまって、その結果、園が全く駄目になってしまって、6月に
花菖蒲まつりで市長などが現地に行って、その出来のわるさに驚き、担当者がお目玉を食らうという
のが一般的である。
そして、私などが「貴重な品種だから、保存したいから分譲してほしい」と頼んでも、分譲した前例がな
いとか、民間企業に分譲したなんてことが知れたらまずいなどと断られてしまう。これが品種が絶えてゆく
一つの図式である。
花菖蒲園で花菖蒲を長年作りこなすのは、たいへん難しい作業で経験が必要である。良く出来ている
花菖蒲園は、たいてい腕の良い良い管理者がおり、その人が長年園を見ている。